長年のテーマである「アイドルの恋愛禁止」
今回は「アイドルの恋愛禁止論」について「芸能事務所側・ファン・メンバー」の立場から考えてみたいと思います。
「アイドル恋愛禁止」はビジネスモデルと深く関係しているようです。
「握手会商法」など「芸事」以外で利益を得るビジネスモデルが流行し「アイドル恋愛禁止」の風潮が強まったようです。
とはいえ、芸能事務所のような企業が、個人に対して「恋愛禁止」など出来るのでしょうか?
目次
「アイドル恋愛禁止」は人権侵害
アイドルの恋愛について賛否両論あると思いますが、個人的には『一企業が個人に対して恋愛禁止なんてできるわけない』という考えです。
一方で、企業や芸能事務所がメンバーと契約を結び、無名の頃から多額の投資をして育成や宣伝活動した場合『恋愛スキャンダル1発で人気が無くなるのは困る』というのも理解できます。
しかしながら、憲法第13条において「人には幸福を追求する権利がある」とされており、とくに「男女の恋愛のような人類の根源的な行為」において、アイドルが幸福を追求することを紙切れ一枚の契約で制限できるのでしょうか。
実際に「芸能事務所とアイドルの間」でこのような裁判がありました。
芸能事務所側とアイドルにおいて「恋愛禁止と違反時の損害賠償義務負担の契約を締結していた」にも関わらず、アイドルがファンと交際し事務所を辞めました。
事務所側は元アイドルに対して『990万円の損害賠償を求めました』が、平成28年1月18日東京地裁判決では「元アイドルの損害賠償義務を認めません」でした。
ただ、契約締結してるにも関わらず「アイドル自らがSNSやマスコミを使って恋愛スキャンダルを拡散した場合」は、事務所側の損害賠償請求が認められるかもしれません。
以上のことから、法的には「アイドル恋愛禁止」を芸能事務所が強制することはできないと理解できます。
ただ、法的に損害賠償請求しなくても、事務所の方針に従わないメンバーを「干す(仕事を与えない)」ことがあるようで、法的根拠だけで解決できる問題でもなさそうです。
「アイドル恋愛禁止」はいつから?
「アイドルの恋愛禁止」というフレーズを聞くようになったのは「AKB48が登場してから」ではないでしょうか。
AKB48グループの『会いに行けるアイドル』というコンセプトにより、以前の山口百恵さん、松田聖子さんのような「偶像として神格化されたアイドル像が一変」しました。
CDに付属された握手券(お話券など)を使用しての握手会などで「ファンとアイドルの距離が近くなった」ことの代償として、ファンが『アイドルを神格化したいという気持ちから恋愛禁止がうまれた』のではないでしょうか。
アイドルは、人間の三大欲求の1つである「性欲」に関する恋愛を犠牲にすることにより「一般人とは違う=神格化」をビジネスに組み込んだように感じます。
また、テレビ番組で元AKB48の前田敦子さんによると『アイドル当時のご自身の恋愛からグループの恋愛禁止がうまれた』のではないかといわれてました。
前田敦子さんのアイドル時代の恋愛は「仕事に支障をきたすような悪い恋愛であった」ようです。
以上のことから「アイドルの恋愛禁止」という認識を強めメジャーにしたのは「AKB48グループ」といえます。
アイドルの恋愛禁止の根本には「アイドルのビジネスモデル」が深く関わっています。
「アイドル恋愛禁止」海外は?
欧米や海外の方からすると『日本のアイドル恋愛禁止は理解できない』ようです。
「恋愛禁止」といった概念がありません
また「接触や認知などを売りにしたビジネスモデル」と恋愛を禁止してる企業に対して好意的な意見もありません。
アイドルに対して「清廉潔白さや処女性を求めることも理解できない(軽蔑されるレベル)」といわれています。
アメリカにはアイドルがいない?
アメリカにも「女性アイドルグループはいる」ようですが日本とは方向性が違うようです。
アメリカの美意識において『大人として堂々と振る舞う』のが好まれ、日本のような「はにかみや幼さの美を愛でる」価値観が無いようです。
また、本当は「日本的な趣味の人もいる」ようですが、世間から軽蔑されるため「表立って言うことが出来ない」ようです。
中学校から大学まで単位制で「制服もない環境」で育ったアメリカ人には、AKBなどのアイドルグループが「制服や同じ衣装」を着てることに共感しにくいともいわれています。
欧米は「ショービジネス」に厳しい
欧米では「アイドルなど芸能人の恋愛に対して好意的」な反面、芸能人としての「芸」に関してはかなり厳しいようです。
- 歌手はお金を貰う以上「プロ」でなくてはならない
- 俳優も見た目や雰囲気だけでなく「しっかり演技力」がなければならない
- ブロードウェイに立つダンサーは「過酷な競争を勝ち抜いた」わずかな人だけ
わたしもどちらかというと「欧米の考えかた」に近いです。
日本のアイドルが「接触や認知など芸事を基準としたものから離れすぎている」のが、ファンが「恋愛禁止を多く求めること」に繋がっていると思います。
アイドルの恋愛は許せない!
アイドルファンのなかには『アイドルの恋愛は許せない!』と思う人が多いようです。
- アイドルは「ファンのみんなが楽しめる存在」だから
- 恋愛を犠牲にできる人がなれる「崇高な存在」だから
- アイドルに「擬似恋愛してる」から
- 付き合えなくても「誰のものにもなってほしくない」
- アイドルは「ファンに夢を与えるのが仕事」だから
- 恋愛禁止の「約束を破った」から
- 嫉妬心・悔しい
以上が、アイドルファンの「恋愛禁止に対する意見」です。
色々と調べてますと、ファンは「アイドル」という肩書きを「かなり崇高な存在」にとらえていることが理解できます。
また、アイドルに対して「擬似恋愛」のような「恋愛感情を抱いており」恋愛スキャンダルが発覚したときショックを受けるようです。なかには『祝福できると』いう意見もありました。
「恋愛禁止の約束を破ったから」という意見は少しひっかかるところです。
最初に述べたように「芸能事務所とアイドルメンバーの間」でも、恋愛禁止について契約をかわすことは難しい印象です。
*人権侵害になるから
法に触れるような「不倫」などについては、契約書に書かれているかもしれません。
「アイドル恋愛禁止」に対してファンが寛容になるには、「アイドルの分類」について考える必要があります。
現代のアイドルシーンは、「存在としてのアイドル」や「ジャンルとしてのアイドル」が混在して語られています。
存在としてのアイドルがどのように誕生したのか?ジャンルとしてのアイドルとは何なのか?などを理解し、ファンダムの在り方や応援すべきメンバーやグループを見つけることが「アイドルとファン」お互いにとって良いと思います。
詳しくはこちらをご覧ください
「アイドル恋愛禁止」について元アイドルの願い
わたしはTwitterで元アイドル(自称)の方と「アイドルの恋愛禁止」について少し議論した経験があります。
彼女の意見は
1つのアイドルグループで『恋愛します!恋愛しません!』とメンバーに宣言させて活動させてはどうか?というものでした。
個人的には「そのようなアイドルグループがあってもいい」と思いますが、グループは「グループでブランディング化」しており、個人が「個々に宣言する」のは難しいように思います。
また「誰かを好きになる」なんて、いつ恋に落ちるかわかりません。さらに、はじめは『恋愛しない』と宣言したものの『恋愛します!』宣言をしたメンバーたちが楽しそうにしていて「我慢できるのでしょうか?」と指摘しました。
なぜ、元アイドルさんが「恋愛禁止について語られたか」というと、知り合いのメンバーさんが恋愛を理由にグループ卒業され、長年お付き合いしたものの別れてしまい、その方は「アイドルも恋愛も2つとも失った」からでした。
「アイドル恋愛禁止」に対する世論は、多くの才能を枯れさせてるのかもしれません。
まとめ
今回は「アイドル恋愛禁止論」について考えてみました。
芸能事務所・ファン・メンバーにより、色々な思惑や考えがあります。
個人的には、結局「メンバーの芸事に対する才能」なんじゃないかと思います。なので、何かしら才能を身につけるまでは「恋愛して遊んでる場合ではないのではないか?」と。
アイドルで恋愛スキャンダルを報じられたメンバーは数多くいますが「それでも活躍してる人」はいます。何かしらの「才能や魅力があるから」でしょう。
現代はアイドルという「何かつかみどころがないフワフワした存在」を利用し「ビジネスとして色気を利用してる」のなら、ファンが怒るのも理解できます。
しかしながら、SNS上で誹謗中傷すると人権侵害にあたり「逮捕される危険性があります」のでやめましょう。
アイドルグループには「それぞれのビジネススタイル」があるので
- 「色気を売りにしてる」グループには近づかない
- 才能があるグループ・メンバーを応援する
- アイドルとはいえ人間なので『恋愛くらいしてるだろ』と割り切る
- 自分の応援が異常だと気づいたら「距離を置く」
など、ほどほどに応援するのが良いのかもしれません。