「乃木坂46のドラマトゥルギー」アイドルファンにおすすめの本
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今回は、乃木坂46グループについて書かれた良書「乃木坂46のドラマトゥルギー」をご紹介します。

乃木坂46ファンのみならず、アイドルファンなら一度は読んでおくべき良書かと思います。

乃木坂46というグループが、如何に研ぎ澄まされていったのか。

欅坂46はどのように誕生したのか。

また、アイドルシーンを取り巻く環境についても指摘されています。

*ネタバレになるので内容からの引用は極力減らしています

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乃木坂46のドラマトゥルギー/演じる身体/フィクション/静かな成熟


乃木坂46のドラマトゥルギー 演じる身体/フィクション/静かな成熟 [ 香月 孝史 ]

作者や本の概要をご紹介

著者:香月孝史(かつき・たかし)1980年生まれ

東京大学大学院学際情報学府博士課程単位取得退学。ポピュラー文化を中心にライティング・批評を手掛ける

著書に『「アイドル」の読み方ー混乱する「語り」を問う』(青弓社)があります。

2019年に催された企画展「乃木坂46 Artworks だいたいぜんぶ展」では解説文の作成や展示内容の選定に携わる。乃木坂46メンバーへのインタビューやライブ評・舞台評の執筆なども多数

乃木坂46の舞台演劇への傾倒に着目して、アイドルが「演じる」ことの意味を解きほぐし、彼女たちが獲得した「静かな成熟」、それを可能にする社会的なコンテクスト(前後関係・場の空気)を照らし出す文化評論となっています。

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「乃木坂46のドラマトゥルギー」でわかること

乃木坂46は、現代のアイドルシーンのなかでグループ全体・個々人としても絶大な人気を獲得しています。

乃木坂46メンバーが支持される背景には、どのような「社会的な価値観の変化を見いだすことができるのか」が本書で理解できます。

「アイドル」という職能と専門性、【少女】とエイジズム、選抜と序列化、個々人のパーソナリティを消費対象にすることで生じる抑圧、「恋愛禁止」のような理不尽な慣習。

*職能…そのもののはたらき。職業・職務上の能力、その職業に固有の機能

*エイジズム…年齢に対する偏見や固定観念、それに基づく年齢差別(とくに高齢者差別)

アイドル文化が抱える課題も指摘しながら、乃木坂46がそれらと対峙して獲得した「静かな熟成」、それを可能にする社会的なコンテクストを浮き彫りにし、乃木坂46のみならず「アイドル」運営や受け手側の在り方を理解できます。

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「乃木坂46のドラマトゥルギー」乃木坂46の本質的な歴史を知ることができる

乃木坂46の本質的な歴史とは、2010年代「AKB48全盛期」のアイドルシーンが築いた代表的な特徴である「選抜」「事件」「戦場」に『ためらいを示す』ことで、乃木坂46が独自の魅力を手にしたこと。

乃木坂46の舞台演劇への傾倒に着目して、アイドルが「演じる」ことの意味を解きほぐし、そのうえでミュージックビデオやドキュメンタリー、ライブパフォーマンスなどを読み解いています。

AKB48の公式ライバルグループとして誕生した「乃木坂46」の立ち上げから、舞台演劇を通じての「静かな成熟」の歴史を知ることができます。

「乃木坂46のドラマトゥルギー」はこんな人にオススメ

「乃木坂46のドラマトゥルギー」は、乃木坂46ファンのみならずアイドルファンやアイドル運営に携わる方々にも読んでいただきたい内容となっています。

「最近」乃木坂46ファンになった人にオススメ

乃木坂46「四期生の人気」や「五期生の加入」により、最近乃木坂46のファンになった方が多いのではないでしょうか。

「乃木坂46のドラマトゥルギー」を読むと、乃木坂46の10年の歴史が理解できます。

また、華やかな表舞台での印象だけでなく、乃木坂46の作品に対する向き合い方やこだわり、メンバーの想いなども知ることができます。

アイドルファン・運営の方にオススメ

現代のアイドルシーンは多様化しており、一部のグループでは「アイドルはお金儲けの道具」と発言してしまう運営があります。

そのような発言をしないまでも、良質な作品や思想を発信する訳ではなく、利益のみを追及しているように感じるアイドルグループが増えています。

また、ファンの側も握手会(お話会)に代表されるような、アイドルメンバーと触れ合う(時間を共有する)ことに対する欲求が強くなっているように感じます。

それらが原因で、社会的な問題として今は表面化していませんが、アイドル依存性で苦しんでいるファンの方が少なくない…

アイドルファン・運営とは「どうあるべきか」「乃木坂46が人気する理由」も理解できると思います。

*本書のなかで「具体的にこうあるべき」とは書かれていません

「乃木坂46のドラマトゥルギー」をオススメできない人

アイドルファンの方で、「握手会(お話会)やふれあうイベント至上主義の方」には興味がない内容かもしれません。

また、流し読みして簡単に理解できる内容ではないので『しっかり読解しよう』という意欲が必要です。わたし自身、分からない言葉の意味を調べながら読みました。

乃木坂46を主題としていますが「女性アイドルシーンを取り巻く問題」を多く指摘されており、アイドルファン・関係者の方々に読んでいただきたい内容です。

「乃木坂46のドラマトゥルギー」を読んで思ったこと

わたしがアイドルを好きになったのは、AKB48の楽曲が従来のアイドルとは違った雰囲気であったからでした。

乃木坂46については、乃木坂工事中の前身番組「乃木坂って、どこ?」が面白く毎週見ていました。

乃木坂46のCDを購入し始めたのは「命は美しい」からだったと思います。

基本的にアイドルと「握手したい・話したい」というような欲求はなく、音楽好きからアイドルファンになりました。

そのような経緯のためか、2010年代アイドルシーンに対する疑問を多く抱えていました。

握手会が「認知会」と呼ばれる状況、承認欲求、「消費される者」としてのアイドル、お金儲けとしてのアイドル、アイドルのスキャンダルなど…

「乃木坂46のドラマトゥルギー」を読んで、あらためてアイドル運営の重要さを感じました。

アイドルビジネスは、運営の方針や選択でグループやメンバーの将来を大きく左右します。

また、ファンにとっても健全な心で、常識的な範疇で「アイドルを応援できるか」も運営の方針によるでしょう。

「乃木坂46のドラマトゥルギー」は、わたしの長年の疑問を文章化してくれた納得できる内容でした。

わたしと同じような疑問を抱いている方には、是非とも読んでいただきたい一冊です。

まとめ

今回は、香月孝史著「乃木坂46のドラマトゥルギー」をご紹介しました。

乃木坂46ファンのみならず、アイドルに興味がある方々に是非とも読んで頂きたい一冊です。

アイドルが健全に活動できる環境で、アイドルファンが健全に応援でき、運営は価値ある作品を発信して利を得る…これは当サイトが望むアイドルの形でもあります。

当サイトにとって、「乃木坂46のドラマトゥルギー」は欠かせない一冊となりました。

ありがとうございます。


乃木坂46のドラマトゥルギー 演じる身体/フィクション/静かな成熟 [ 香月 孝史 ]

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