アイドルオーディションで課題となることもある「アイドルのダンス」について、今回は考えたいと思います。
アイドルのダンスには特徴があり、「ただダンスが上手いだけ」では無いようです。
目次
アイドルダンスの特徴
昔から今も受け継がれるアイドルダンスの特徴は「曲の歌詞と振り付けがリンクしている」ことです。
この傾向は、古くは昭和アイドルから脈々と続く伝統といえます。
アイドルダンスの種類
アイドルが歌う曲に振り付けられたダンスのベースは「ジャズダンス」で、曲調に合わせてヒップホップやブレイクなどあらゆるジャンルのダンスを自由に取り入れることが出来るため一般的には「ステージダンス」といわれています。
1つずつ詳しく解説します。
ジャズダンスとは
ジャズダンスは「クラシックバレエ」を基礎としたダンスジャンルです。
指先まで意識した綺麗な振り、体の軸をまっすぐ使ったしなやかさが特徴です。
乃木坂46を筆頭とする坂道系グループでは、「バレエダンス経験者」をメンバーとして採用する傾向が強いです。
ヒップホップダンスとは
ヒップホップダンスは、スピードの速い曲調に合わせて軽快なステップを踏むのが特徴です。
また、沈み込むような動きや、あえて音を遅らせる(曲とダンスのリズムをずらす)こともあります。
ブレイクダンスとは
ブレイクダンスは、音楽に乗せて体のあらゆるところを使い、回ったり跳ねたりと、アクロバティックな動きを取り入れたダンスです。
ストリートダンスの力強さから、男性アイドルで多く取り入れられてる印象があります。
ステージダンスとは
ステージダンスとは、観客に見せるために舞台の上で踊るショーダンスです。
アイドルダンスは、ジャズダンスを基本としヒップホップやブレイクダンスのような多くのジャンルのダンスを取り入れ舞台やテレビ番組などで、あくまでも観客に見せるダンスであるということが理解できます。
*ヒップホップダンス経験者がアイドルメンバーとなり、アイドルダンスに修正されるということもあるようです。
加えて、乃木坂46は「舞踏」を感じる柔らかく、しなやかで表現力の高いダンスが特徴です。
アイドルの踊り方について
アイドルのように「可愛いく踊る」には次のような特徴があります。
- 手や腕を上手く使う
- キレの良さよりも柔らかさ
- 楽曲・振り付けが重要
手や腕を上手く使う
乃木坂46のような魅力的なアイドルグループのダンスでは、手や腕の使い方が上手い印象があります。
手や腕の使い方は個人のスキルだけの問題ではなく、後で詳しく解説しますが質の高い楽曲と振り付けが必要です。
キレの良さよりも柔らかさ
アイドルダンスの種類で解説しました通り、チカラ強いキレの良さよりも「柔らかさ」が好まれる傾向にあります。
キレキレのダンスはかっこいいですが、日本で活動する女性アイドルグループには求められていないように思います。
*韓国アイドルはキレキレのダンスが多く、アイドルというよりもアーティスト意識が強いようです
アイドルダンスは楽曲・振り付けが重要
乃木坂46合同会社代表の今野氏は『アイドルは総合芸術であるべき』と述べているように、アイドルはダンスのスキルさえあれば良いという訳ではありません。
- グループの雰囲気を表す「質の高い楽曲」
- 「ダンスで表現する」ための振り付け
- 楽曲や振り付けを「表現できるアイドルメンバーのスキル」
- 楽曲を表現する「歌唱力や表情」
以上のように、アイドルはダンスさえ上手ければ良い訳では無いのが「アイドルダンスの面白さ」でもあります。
乃木坂メンバーはダンス力を抑えている?
元乃木坂46メンバーの中田花奈さん曰く、キレキレに踊れるメンバーは「楽曲に合わない、他のメンバーと調和しない」などが理由で「力を抑えて踊る」ことが多かったようです。びっくりですね。
乃木坂メンバーから人気である楽曲「日常」は、思いっきり踊っても良い楽曲だったのでメンバーに好まれます。
乃木坂メンバーは「髪の動き」まで計算している
乃木坂メンバーは、ダンスすることによる「髪の毛の動き」まで計算しているようです。
金川紗耶さんのダンスを見ると、わかりやすく「髪の毛が踊っている」と感じます。すごいっす。
K-POPダンスの特徴「何ダンスなの?」
日本のアイドルダンスは、歌詞と振り付けがリンクしている傾向が強いのですが、K-POPダンスでは特徴が異なります。
K-POPダンスの特徴
- 新しい斬新な振り付け
- 難易度の高いダンス・振り付け
- 一般人でも真似できるキャッチーな振り付け
- 様々なジャンルのダンスの要素がミックスされている
上記のような特徴があります。
この傾向は、K-POPのみならず最近では、坂道系やAKB48グループも取り入れてる印象です。
K-POPダンスのジャンルは何?
K-POPダンスはK-POPの音楽に合わせて踊るダンスで、ダンスのジャンルに明確なジャンルの定義は無さそうです。
ヒップホップやジャズなど様々なダンスの要素を取り入れており、男性アーティストと女性アーティストでダンスの種類に違いがあるといわれています。
個人的な感想としては、「男性アーティストはしなやか」に、「女性アーティストは力強い」表現の特徴を感じます。
ジャニーズダンスの特徴「何ダンスなの?」
イケメンでダンスが上手い印象が強いジャニーズグループですが、彼らのダンスはどのようなジャンルなのでしょうか?
基本的には、K-POPダンスと同じくヒップホップダンスやジャズダンス、ロックダンスのような様々なダンスをミックスしてるようです。
ジャニーズグループではありませんが、ロックダンスで話題となったのは、2021年にリリースされたAKB48の「根も葉もRumor」です。
坂道系・AKBグループのダンスは複雑化している
国民的アイドルグループであった初期のAKB48のダンスの特徴は「一生懸命さ」であり、ダンスの上手さはファンの興味対象では無かったように思います。
しかしながら、姉妹店のSKE48やNMB48は既存のAKB48と違った見せ方をする必要があり、ダンスにチカラを入れていた印象があります。
キレキレっに踊れるグループです。
その後、HKT48やNGT48、STU48の姉妹店が誕生し、既存グループとの差別化するためにダンスというよりもフォーメーションを大きく崩す形が主流になっています。
以前は「一生懸命さ」で凌いできたAKB48ですが、「根も葉もRumor」のように現在はダンスに力を入れた楽曲をリリースしており人気奪還にかける熱さを感じます。
一方、乃木坂46は、以前から「舞いやバレエ」を基調としたダンス、欅坂46はキレのあるダンス(曲調により舞いの要素もある)、日向坂46は可愛いらしいダンス、のように当初から各グループが差別化されているように感じます。
坂道系グループは3つのグループでダンスによる表現が差別化されていますが、AKB48グループは姉妹店が多く各グループのダンスによる特徴が明確ではありません。
ダンスの特徴による差別化が難しいので、メンバーフォーメーションの変更が多いグループもあり、メンバーはダンスを覚えて表現するだけでなく、フォーメーションの動きも覚える必要もあり負担が大きくなっている印象です。
効果的なフォーメーションチェンジは「視聴者を飽きさせない」という面で有効なのですが、選抜に選ばれても後列のメンバーなら以前よりもテレビ番組などで映らないようになっている気がします。
また、「何かを表現するためのフォーメーションチェンジ」ではない場合、『グループが何をしたいのか分からない』という印象をファンに与えるため、一概にダンスを複雑化すれば良いわけではないとも感じます。
アイドルダンス「上手さ」だけでは伝わらない
ダンスを「上手く踊れる」というのは素人が目指す目標であり、表現者・アーティストならば「表現力」が問われます。
また、グループとして考えるなら、元乃木坂46メンバーの中田花奈さんのようにダンスが上手くても「周りとの調和を考える」必要もあるでしょう。
ダンスの上手さだけでなく、髪の毛の動きまで緻密な計算がされている乃木坂46は一歩二歩先を行ってるグループであると理解できます。
他のグループで良くない傾向として、自身のダンスの上手さに「慢心してしまう」様子をみかけます。
ダンスが上手いなら表現力を身につける域を目指すべきですし、周りとの調和(他のメンバーにダンスを教えてあげるなど)も考えるべきでしょう。
ダンスや歌唱についてもいえることですが、「慢心する」ことで怖いのは、そのような感情が踊りや歌に現れることです。慢心しているメンバーのダンスや歌は、どこか「鼻につく」印象を与えてしまい人の心を動かす(感動させる)ことが出来ません。
アイドルにとってダンスは、グループや自身を表現する重要な存在であるといえます。