日本の「アイドル戦国時代」は終わった。地方アイドル運営に問われる実力
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わたしは「STU48」というアイドルグループをデビューから応援してきた。

しかし、2021.5月末で「STU48の象徴」ともいうべき「船上劇場STU48号」が、その役目を終えるのを機にSTU48からも距離をとるつもりだ。

STU48は「世界初の船上劇場」をもつアイドルグループ。メンバーも、純朴で美しい雰囲気が魅力的であった。後には「乃木坂46のような人気グループ!」になると夢をみたのだけれど人気が伸び悩んでいる。

STU48と同時期にデビューしたアイドルグループに、指原莉乃さんプロデュースの「=LOVE」がある。

=LOVEもSTU48と同じく人気が伸び悩んでいる印象を受ける。

その他の、AKB商法(メンバーのパーソナリティーが売り)を軸にしているアイドルグループも同様だ。

日本はアイドル戦国時代なので『仕方ない』と思っていたのだけれど、実は日本のアイドル戦国時代は終わっていることに気づいた。

坂道系アイドルグループにより、日本のアイドル戦国時代は天下統一されたのだと思う。

『坂道系もAKB商法じゃないか!』という声も聞こえてきそうだが、坂道系はグループ毎にしっかりコンセプトが決められていたり、個人SNSが無かったりと絶妙なバランス感覚を持っている。なかでも、楽曲やMV・衣装に対するこだわりを感じる。

そのバランス感覚や音楽こそが、多くの「日本人のアイドル像」なのだろう。日本のアイドル戦国時代が終わりを迎えたことに、韓国アイドルの存在が関係しているが、そのあたりも深掘りしながら「日本のアイドル戦国時代が終わった理由」を考えてみたい。

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「アイドル戦国時代」が終わった理由

AKB48グループの終焉と「アイドル戦国時代」が終わった理由に関して、面白い記事をご紹介したい。わたしが長年感じていたことに近く、記事から引用しながら考えてみよう。

https://bunshun.jp/articles/-/42515

アイドル戦国時代を作ったのは「AKB48グループ」だろう。

アイドル戦国時代の終焉とは「AKB48グループ商法の終焉」ともいえる。

そのキッカケとなったのが「オリコンランキングの終焉」

オリコンランキングの終焉で人気錬金術は使えなくなった

AKB48は年間シングルランキングのトップに君臨し続けた。「会いに行けるアイドル」のファンたちの熱意を売上に結びつけ、音楽の人気へと変換した。旧態依然としたオリコンのシステムを使うことで、コアファンによる人気を一般化したのである。つまり、AKB商法は、人気錬金術のシステムでもあった。

記事より引用

AKB商法は「CDに握手券などをオマケ」にして、CD売り上げ枚数をのばした。それをメディアが取り上げ、あたかも「すごい人気グループ」のように持ち上げられた。

しかし、実際は「1人のファンが数百枚CDを購入していたり」して、ファンの「実数」はそれほど多くなかった。人気錬金術については、AKB48卒業メンバーをみれば明らかだろう。グループを卒業した後、活躍しているメンバーは数少ない。現在も活躍してるメンバーは、人気錬金術に頼ることなく実力のあるメンバーだ。

AKB商法の人気錬金術は、音楽人気をはかる基準が「オリコンランキングからビルボードチャートに変わった」ことで終焉を迎える。

音楽人気を計る基準がビルボードチャートに変わったことだ。オリコンが年末までCD売上のみのランキングだったのに対し、ビルボードは販売だけでなく、音源ダウンロード販売やストリーミングサービス、動画再生数など複合的な指標を用いて曲単位でチャートを構成する。現在は複数の項目の指標からなり、その比重は毎年変えられている。

記事より引用

ビルボードの音楽人気を計る基準は、国民の声を大きく反映している。「ごまかし」が効かないのだ。ちなみに、全国区の人気番組ミュージックステーションは、ビルボードランキングを使用している。

わたしがAKB48グループを好きになった理由は「アイドルらしくない楽曲」だった。しかし、全国にAKB48グループの姉妹店(SKE・NMB・HKT・NGT・STU)が増えすぎて、各グループの差別化が難しくなってしまった。その結果、簡単に売り上げを作れる「メンバーのパーソナリティーに依存」したCDの売り方が流行した。それが「ごまかし」である。

以前から音楽が好きで、握手券などに興味がなかったので、当ブログでも「STU48の楽曲やMV」に対して、もっと力を入れるように書いてきた。

 

クオリティーの高い楽曲やMVを作り、それらを用いて「アイドルグループをブランディングすること」が必要な時代になった。楽曲やMVでのグループブランディングを以前から貫いてきたのが「坂道系グループ」だ。

わたしが長年、感じていたことは間違いではなかった。

AKB48グループの優秀な人材が海外流出・卒業

人気メンバーとして期待されていた宮脇咲良は、同じく『PRODUCE48』を機に韓国に渡り、IZ'ONEのメンバーとなってK-POPの世界で大活躍をしている。2021年4月までの期間限定での活動ではあるが、IZ'ONEはK-POPのガールズグループのなかではBLACKPPINKとTWICEに次ぐ人気を維持している。

記事より引用

宮脇咲良さんだけでなく、これからのAKB48を背負っていたであろう高橋朱里さんも韓国へ。指原莉乃さん、小嶋真子さんも卒業。AKB48グループの主力メンバーに変わり、新たなセンターとして人気を集め始めていた矢作萌夏さんも卒業…

AKB48の顔といえるメンバーは数少なくなった。

AKB48グループのメンバーが弱くなったのと逆に、坂道系グループは多くの人気メンバーを輩出するようになる。

若いファンはAKB48から坂道グループに移っていった。乃木坂の清楚さに惹かれるファンもいれば、欅坂の思春期的なコンセプトに共感するファンもいた。グループが見せてきた競争よりも、よりシンプルなグループをファンは求めた。

記事より引用

若い世代のアイドルファンの人たちは「競争や勝負する様子」などを嫌うのではないか?または、興味がない。

AKBの人気錬金術は、若い世代のアイドルファンには通用しなかった。シンプルでわかりやすく、アイドルとして実力のある本物を好むように思う。

坂道系の「ひらながけやき」から「日向坂46」に改名したのは見事であった。新たなグループとしてブランディングして人気を集めている。

「ひらがなけやき」では、今までファンじゃなかった世間一般には、欅坂46との違いが分かりづらいが「日向坂46」なら分かりやすい。同じメンバーなのだけれど、グループカラーもはっきりとわかる。

乃木坂46・櫻坂46(元は欅坂)・日向坂46も加わり、坂道系は日本の国民的アイドルとなった。

秋元康氏がAKBから離れた?

2018年前後から、秋元康氏は新たなプロジェクトを仕掛ける。

  • バンドアイドルのようなコインロッカーズ
  • 劇団アイドルのような4ドル50セント
  • おニャン子クラブのリメイクのような青春高校3年C組…

なぜ、秋元康氏が新たなプロジェクトを仕掛けたのか?

AKB商法やグループに「限界を感じていた」のではないだろうか。そして、秋元康氏が離れた後「AKB48グループ最大の騒動」が起こる。

2019年1月に発覚したNGT48の不祥事だ。メンバーのひとりがファンに襲われた事件は、運営会社・(現ヴァーナロッサム)の事後処理の不手際によって状況がひどく悪化した。

この一件は、AKB48グループの社会的信頼を失墜させた。明るくて楽しいエンタテインメントを提供してきた日本トップのアイドルグループが、きわめて雑に運営されていることが明らかになってしまったからだ。

記事より引用

NGT48の騒動により、運営の体質の悪さが露見してしまった。NGT48で偶然起こった騒動だが、運営体質は他のAKB48グループ(NMBは除く)も同様だったのではないだろうか。

そこには「秋元康氏が思い描いた、かつてのアイドルグループの姿」はなかっただろう。

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アイドル戦国時代の勝者とは

AKB48は劇場を基盤に、インターネットを積極的に活用していたように見えたが、結局のところは従来のメディアが弱体化していく混乱期に、その隙を突いたにすぎない。CDや地上波テレビなどのレガシーメディアが、完全にインターネットに相対化された現在においては、同じ手法は機能しない。

記事より引用

AKB48グループの衰退の理由は「時代に対応できなかった」のと別に「メンバーの雇用体制」も原因ではないだろうか。

AKB48グループは、運営がメンバーを雇用(卒業後も)しない派遣業だ。人気を得たメンバーは、個人で事務所契約を結ぶのが1つの目標となる。

「AKBグループ1強時代」は、企業やスポンサーから仕事が沢山あった。しかし現在は、その多くが坂道系へ流れている。AKB48グループの仕事の受け方は単発的で、メンバーのキャリアを考えてるような「一貫性を感じない」ことが多かった。

坂道系は、グループ卒業後も運営が面倒をみてくれる。卒業後も自社に残り、活躍してもらうためには「プロ意識」が必要になる。その結果、受けた仕事に対してクオリティーが高い。

完全にインターネットに相対化された現在では、企業やスポンサーとの付き合い方も変わってくる。アイドルのスキャンダルはご法度だろう。

その結果、業界で「プロアイドル」と呼ばれていた「乃木坂46」に人気が集中することになった。

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「アイドル戦国時代」は乃木坂46により統一された

 AKB48がメンバーのパーソナリティに基盤を置いてファンに訴求しているのに対し、NiziUは両方の要素を兼ね備えているハイブリッドだ。人気が出るのは当然だ。K-POPがやってきたことはシンプルだ。インターネットにアジャストするのはもちろんのこと、もっとも重点を置いているのは、ちゃんと音楽を創り、しっかりとしたパフォーマンスができるメンバーを揃えることだ。BTSも含めK-POPが続けてきたのは、このシンプルかつ基本的な姿勢──“音楽をちゃんとやるアイドル”だ。

記事より引用

https://bunshun.jp/articles/-/42516

 

引用記事では「NiziU」や、K-POPが評価されてるが、NiziUは「世界を狙っている」と感じる。

K-POPの「音楽をしっかりやるアイドル」と、AKB48グループの「メンバーのパーソナリティに基盤を置いたスタイル」のハイブリッドは、乃木坂46を筆頭とした坂道系グループではないだろうか。

日本のアイドル戦国時代は、乃木坂46を筆頭とした坂道系グループにより天下統一されたのだ。

そしてそれは、アイドルの原点である「音楽とパフォーマンス」に回帰した。

坂道系グループは、人気する前から現在でも「楽曲とMVに妥協がない」特典DVDはBlu-rayに進化し映像も美しい。

メンバーの衣装で「スカートの膝丈が揃っている」のは有名な話だが、テレビの音楽番組出演では、メンバーの「頭の高さ」も大体同じになるフォーメーションが組まれているように感じる。

パフォーマンスは、激しいダンスが特徴ではないが、どこか日本の「舞」のように美しい。

*櫻坂は激しいダンスで情熱的だ

衣装もこだわりを感じる繊細なもので、パフォーマンスを引き立てている。

坂道系のCDにも握手券(現在はミーグリ)などが付いているが、AKB48グループの「人気錬金術」とは本質が違う印象を受ける。坂道系の「あくまでも、楽曲やパフォーマンスで勝負する!」という姿勢は、以前から一貫していた。

アイドル戦国時代が終わったその後は?

K-POPの日本進出は、その存在自体がAKB48などにとっては新たな未来の示唆となる。答えはすでに明示されている。

グローバルマーケットに適応できる音楽をちゃんと創り、メンバーたちはしっかりとしたパフォーマンスをすることこれだけだ。ソリューションはもう見えている。

記事より引用

乃木坂46を筆頭とする坂道系グループは、現在のアイドルの「在り方や形」を知っている。その形(音楽とパフォーマンス)やグループアイデンティティが崩れない限り、坂道系の天下が続くだろう。

坂道系の天下とは、全国放送のテレビ番組やファッション雑誌などのマスメディアを独占するということ。

いつかは終わりを迎えるにもかかわらず、CD販売に依存してきた日本の音楽業界にとって、握手券をつけてCDを延命させた“AKB商法”は結局のところドーピングでしかなかった。20年代の日本の音楽業界とは、10年代にキメ続けたドーピングの副作用と闘う時代だ。ソニーミュージックは坂道グループを手がけながらも、K-POP大手のJYPエンタとも手を組んでNiziUを大成功させつつある。

握手会が当面できず、CDがいま以上に売れることがないなかで、音楽系プロダクションやレコード会社は業態の根本的な転換を求められている。

記事より引用

坂道系グループは日本のアイドル戦国時代を終わらせ、NiziUは「坂道系のノウハウ」に韓国のテイストを加えて世界を狙っている。

AKB48グループは、早く体制を立て直して、次の戦略を打ち出さなければならない。音楽レーベルとの関係・卒業後の契約・音楽MVの在り方・メンバーのパーソナリティーに依存した商売からの脱却など、課題は山積みだ。

わたしは握手会やお話会・チェキ会のようなイベントに興味がない。興味がないどころか、showroom配信で見せられて不快なグループもあった。しかし、それが「地方アイドルが生き残るための唯一の方法」なのかもしれない。

地方アイドルによる地方分権へ

坂道系が全国マスメディアを独占し「アイドル戦国時代の天下を取った」わけだが、地方アイドルにチャンスがないわけでもない。

嗅覚が鋭い運営は、着々と地方制覇に向けて動いている。

NGT48の地方制覇戦略

NGT48は、一連の騒動で信頼を失った。そのぶん、他の地方アイドルよりも積極的に地元への貢献に動いている。マーケティング事業と提携したことにより、NGT48の運営はかなり良くなった。

新潟アルビレックスBBのバスケットボールの試合で、ハーフタイムにライブをしたり、子供たちを対象としたダンスアドバイスコーナーを開催している。とてもよい取り組みだと思う。

他にも、NGT48のラーメン部は地元の美味しいラーメン屋さんを紹介するというもの。日本におけるラーメン人気は高いので、とてもいい狙いだ。さらに、登山やキャンプ・アウトドアを狙った雑誌や猫雑誌のような、特化したジャンルを攻め続けている。

「新たな層でファンを増やそう」という戦略だろう。これこそ坂道系が「やらない・できない・やりたくない」ジャンル、ブルーオーシャンを狙った戦略ではなかろうか。

NGT48は、とても楽しみなグループになった。

他にも、川越沙彩さんの「ギターに特化した企画」中井リカさんの「服飾ブランドへの道」企画もある。

 

*個人の見解です

STU48の地方制覇戦略

STU48が他のアイドルグループと差別化しているものに、アイドルによるオンラインサロン「セトウチライブラリー」がある。

わたしも入会していたが、色々な企画やイベントがあり面白い。まだ、内容的には物足りない(しっかり作られていない)が、STU48の根幹になるものだと思う…が、これが「メンバーのパーソナリティーに依存した」商法だ。STU48運営には焦りがみえ、すべてが中途半端になっている感じがする。

東京進出を狙った「月1のライブ」を2021年から東京で始めたが、STU48の楽曲は年々「何がやりたいのかわからない」ジャンルを連発している。

STU48の「グループコンセプトが楽曲から掴めない」のだ

たまに、カップリング曲のほうがSTU48ぽかったり・カッコ良かったりする始末である。そして良曲のMVはない…とハチャメチャなのだ。ビルボードチャートの話からも、動画再生回数も基準になっているのに時代に対応できていない。

カップリングの良曲を少し紹介

僕たちの春夏秋冬…2期研究生の楽曲だが、もっともSTU48らしい曲に思う。ラムネのような爽やかさと懐かしさの楽曲の雰囲気で振り付けも良かった。「制服の重さ・原点・そして僕は僕じゃなくなる」なども良曲だ。ロックテイストだけど。

STU48のような地方アイドルグループが、全国マスメディアの音楽番組に出演できるのは新曲発売の前後だけだ。そこで勝負しないで、どこで勝負するつもりなのだろうか。勝負するためには、良質な楽曲とパフォーマンス・MVが必要だ。

丸腰で戦場に立ってはいけない

全国進出を考えるなら、しっかりと武器を用意するべきだろう。

STU48のメンバーは

  • ビジュアルがいい
  • 歌が上手い
  • ダンスが上手い
  • 性格が良い・面白い

上記のような才能溢れる人材の宝庫だ。しかし、運営が上手く活かしきれてない印象を受ける。何かキッカケ1つで化けるグループだろう。

まず、きちんと音楽を作ることが課題ではないだろうか。あと、承認欲求を満たす商売はやめた方がいい。それは、AKB商法のドーピングと同じだからだ。ドーピングには、副作用がともなう。その被害者がファンやメンバーにならないことを祈る。

 

これから、アイドルを目指す人は「グループ選び」が重要になるだろう。

音楽レーベルは、CDにオマケ付きの販売スタイルから脱却し、新しいスタイルを作れたグループや企業が次の時代を勝ち取るのだろう。

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